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強制執行はどのように行われるのか

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借主が賃料の支払いを滞納していたため、賃貸借契約を解除して訴訟提起し、裁判所から建物明け渡しの判決を出してもらいました。この判決に基づいて借主に借家を明け渡してもらおうと考えていますが、どのような手続をとればいいのでしょうか。

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まず、裁判所に強制執行の申立ての手続をする必要があります。
明け渡しの強制執行は、執行官が行いますが、執行官は、まず任意で建物を明け渡すよう促し(催告)、それでも借主が建物を明け渡さない場合に、初めて強制的に家具や荷物を運び出します(断行)。

まずは強制執行の申立てが必要

裁判所から「借主は建物を明け渡せ」という判決が出された場合でも、貸主は、自分で実力行使して借主を借家から追い出すことはできません(自力救済の禁止)。

判決に基づいて借主に借家を明け渡してもらうためには、貸主は、まず強制執行の申立ての手続をする必要があります。

この手続をするには、判決が言い渡された裁判所に行って、判決の正本に執行文をつけてもらわなければなりません(民事執行法25条)。

また、判決が相手方に送られたことを証明する送達証明書を、裁判所からもらう必要があります(民事執行法29条)。

さらに、強制執行申立書を作成し、執行文付きの判決正本、送達証明書と一緒に裁判所に提出します。

強制執行の申立ては、明け渡しの対象となる建物の所在地を管轄する地方裁判所で行い、その際、裁判所には、執行官への手数料(執行予納金)を納めることになります。

実際の明け渡しはどのように行われるのか。

明け渡しの強制執行は、執行官が行います。

執行官は、まずは任意で建物を明け渡すよう、借主に勧告します(民事執行法168条の2第1項)(これを「催告」といいます。)。

執行官は、催告の日に、強制的に荷物を運び出す予定日を決めます。そして、それでも借主が建物を明け渡さない場合、初めて強制的に家具や荷物を運び出します(これを「断行」といいます。)。

執行官は、原則として、強制執行申立ての日から2週間以内に、明け渡しの催告を実施します(民事執行法154条の3第1項)。

また、断行予定日は、原則として、明け渡しの催告の日から1ヶ月以内に設定されます。

強制執行の費用は、強制執行を申し立てた貸主が用意します。もし、断行が行われることになれば、家具や荷物の運び出し、搬送を行う人やトラックを用意することになり、貸主はこの費用も準備しなければなりません。

この費用がどのくらいになるのかは、建物の大きさや運び出す荷物の量によって変わってくるため、一概には言えませんが、少なく見積もっても30万円から50万円、場合によっては100万円以上かかることもあります。