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息子を住まわせるために契約を終了させたい

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建物の1階部分を貸していたのですが、まもなく賃貸借契約期間が終わります。
近々息子が結婚して実家に戻ってくるので、1階部分の賃貸借契約を終了させたいと思っています。期間満了により契約を終了させることはできるでしょうか。

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貸主と借主の使用の必要性が同程度であれば、貸主が更新を拒絶するのは「やむを得ない」と判断される可能性は高いでしょう。

息子に住まわせることは正当事由にあたるか

契約の更新が予定されている普通借家契約において、貸主が期間満了により賃貸借契約を終了させるためには、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、借主に対し、更新拒絶の通知または条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなければなりません(借地借家法26条)。

この通知をしない場合には、契約は前と同じ条件で更新されますから、契約を終了させたい貸主は、更新拒絶の通知を「配達証明付きの内容証明郵便」で行っておく必要があります。

さらに、借地借家法の適用のある賃貸借契約では、契約期間が満了したときに、貸主側に更新を拒否するやむを得ない事情(正当事由)がなければ、契約はそのまま継続されることになっています(借地借家法26条1項)。
そうなると、質問のケースが正当事由にあたるかどうかが争点になるでしょう。

正当事由は、貸主と借主がそれぞれ建物をどの程度必要としているかという点を中心に、さらにいくつかの事情を考慮して判断されます。

質問のケースでは、建物の使用を必要としているのは貸主の息子であり、貸主自身ではありませんが、息子を住ませるために賃貸借契約の更新を拒否したいという貸主の考えは、ある程度の合理性があります。

この点については、貸主・借主双方に経済的余裕があり、建物を使用する必要性が同程度であれば、貸主の長男の結婚が近いという事情を決め手として、正当事由を認めた判例があります(最高裁/昭和29年3月9日判決)。

したがって、貸主と関係のある第三者(典型的な例としては貸主の家族)が建物を使用する必要性は、正当事由を判断する材料として考慮されることになります。

質問では、借主が建物を必要とする程度が明らかではありませんが、仮に貸主と借主の必要性が同程度であれば、息子に使用させるという事情が正当事由を判断する際の一要素になります。結果的に、貸主が更新を拒絶するのは「やむを得ない」と判断される可能性は高いでしょう。

では、正当事由が認められても、入居者が居座り続けたらどうすればいいでしょうか。

契約期間が終わってからも、引き続き借主が建物に住み続けている場合、貸主はまず、借主に対して「異議」を述べなければいけません。建物の使用を認めないという意思表示をするのです。

このとき、貸主がすぐに異議を述べなければ、契約が更新されたとみなされてしまいます(借地借家法26条2項)。ですから、更新を望まない貸主は、期間満了後、直ちに異議を述べることをくれぐれも忘れないようにしてください。