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貸主の解除が無効とされた事例

借主が建物の一部を転貸しているにもかかわらず、貸主の解除が無効とされた事例
(最高裁昭和36年4月28日判決)

事案の概要

貸主は、所有する建物を借主に賃貸した。

当該建物の建築費の多くは借主が支出しており、建物の修理及び増改築がなされた際も、その費用はすべて借主が負担した。

借主は、賃貸建物で店舗を経営していたが、業績不振のため、生活資金の一助とするために、建物の一部分を第三者に提供した。同第三者は、そこにまんじゅう製造機械を据え付けてまんじゅうの製造販売をし、その利益を借主との間で分配した。

借主が第三者に使用させている部分は、建物のごく一部にすぎず、まんじゅう製造機械は移動式のものであって建物の構造にはほとんど影響がなく、その取り除きも容易であった。

貸主は、無断転貸を理由に賃貸借契約を解除する旨通知し、借主に対し、明け渡しを求めた。

結論

本件借主の転貸は、貸主に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるため、貸主は、契約の解除をなし得ない。

理由

賃借人が賃貸人の承諾を得ないで第三者に賃借物を使用させた場合でも、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合には、賃貸人は、契約の解除をなし得ない。

そして、上記事実を総合すれば、賃借人が賃貸人の承諾を得ないで本件家屋の階下の一部を使用させたことをもって、賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるものといえる。

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